武藤順九モニュメント披露

芸術 武藤順九モニュメント披露
         

 イタリアと津山を拠点に活動する彫刻家・画家の武藤順九さん(71)=宮城県仙台市出身=による大理石彫刻「風の環2011―絆―」が18日、東日本大震災で被災した石巻市に近く開園する石巻南浜津波復興祈念公園の鎮魂モニュメントとして披露された。27日からは津山を皮切りに国内巡回展を開き、「絆ファーストイメージモデル」をはじめ世界的に認められた独創的な作品が出展される。
 鎮魂モニュメントは高さ2・1㍍、幅3㍍、奥行き90㌢、重さ約6㌧。「みやぎ絆大使」も務める芸術家として制作依頼を受け、震災10年の節目に向けて官民一体で進めてきたプロジェクトの結晶で、震災直後に被災した故郷を訪れた際、がれきの間で目にした植物の双葉から着想。表裏が交錯する「メビウスの輪」に重ねて輪廻転生(りんねてんしょう)する生命を表現し、犠牲者の鎮魂、ふるさと復興への思いを込めた。みずみずしい発芽のイメージは再生する自然も象徴。
 石巻市南浜地区では津波と火災の延焼で約400人もが犠牲になり、同公園は約40㌶に県営・市営公園、中心部に国が追悼施設を整備した。
 開園(28日)を前にした除幕式には政財界などから約100人が出席。震災で亡くした親戚や友人への思いを胸に臨んだ武藤さんは「双葉を見たこの場所にモニュメントが建ったことに不思議な縁を感じる。未来への希望を語り合う公園のシンボルになってほしい」と話した。
 津山での特別企画展「イタリアの風 武藤順九の宇宙」(同実行委主催)は27日〜4月18日、川崎のポート・アート&デザイン津山で開催。抽象彫刻を中心にネオフレスコ画、墨絵、石に描いた「石彩」など約50点を展示し、3日、10日、17日にはアーティストトーク(午後1時半〜、3時半〜、各10人要予約)もある。
 「歴史ある和洋折衷の空間が私の目指す時空を超える作品に融合すると感じた。国内での本格的な個展は京都で開いて以来7年ぶり。津山の活性化にも一役買いたい」と期待を込める。展示は会期後、東京、仙台を巡回する。
 問い合わせは、ポート津山(☎201682)。

石巻南浜津波復興祈念公園で除幕された「風の環―絆―」と武藤さん(左)ら制作プロジェクト代表者=武藤さん提供

プロフィル
東京芸術大学美術学部を経て渡欧。1975年からイタリア・ローマにアトリエ、ピエトラサンタに工房を構え、大理石彫刻をメインに制作活動を続ける。「CIRCLE WIND(風の環)」シリーズ作品は、バチカン市国のローマ法王公邸、仏教発祥地のインド・ブッダガヤのマハボディ大寺院(世界遺産)、米国ワイオミング州のデビルス・タワー国立公園など世界各地に設置されている。国内では2019年、東京昭島市の昭和の森に「武藤順九彫刻園」が開園。一昨年、国内の拠点として京都から妻の実家の昭和町に居を移した。


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