岡山県津山市の阿波地域で7、8の両日、オーガイホールディングス(本社・大阪府)による歯科医療ツーリズムの実証実験が行われた。医療設備を備えた専用車両「O‐Gai」が訪れ、通院が困難な住民を対象に、口腔(こうくう)内スキャンや義歯の製作・調整などを実施。医療と観光を融合させた新たな地域医療モデルの可能性を探った。
会場は、クラフトホテルあば村・あば交流館、あば温泉。参加者は車内で検診を受け、デジタル技術で製作された義歯を装着。その後、温泉入浴や食事を楽しみ、「治療」と「旅」を一体化させた体験型プログラムに参加した。
代表取締役の野田真一さん(41)は、「歯科医院が近くにない地域にこそ、医療を届ける仕組みが必要だと感じた。阿波とのご縁を大切にしながら、地域と一緒に形にしてきた」と語る。今後は沖縄の離島などでも実証を進め、年内の事業開始を目指す考えを示した。
一方、共同代表で日本遠隔医療学会歯科遠隔医療分科会長の長縄拓哉さん(43)は、当日の吹雪にふれ、「寒さや機器管理など、現場ならではの課題が多い。実証を重ねることで、災害時にも対応できる体制につなげたい」と話す。
地元で受け入れを支えたあば株式会社の歌房進修さん(60)は、「元々無医村の地域。阿波に医療ツーリズムが入ってくるのは、とてもありがたく、魅力的」と期待を寄せる。地域と連携し、現場で技術を磨きながら進める今回の実証は、日本初の包括的な地域医療モデルとして、全国の中山間地や離島への展開が期待される。
