岡山県津山市の中央公民館の歴史講座が24日、同所で開かれ、歴史研究家・橋本惣司さん(同市林田)が「高瀬舟の歴史と役割」と題して講演し、市内の歴史愛好者ら50人が耳を傾けた。
津山城下や同県真庭市の久世、落合など、岡山県内にかつてあった川湊(みなと)の船着き場跡や蔵が並んだ町の様子を絵図や古写真を見せながら解説。各地で古墳時代の舟形の埴輪(はにわ)や奈良時代の舟形製品が出土していることを挙げ、「高瀬舟は古くから吉井川や旭川などの上流地域と瀬戸内地域を結び、生産物や生活用品を運ぶ大量輸送機関だった」と強調した。
江戸時代に伊能忠敬が日本地図の測量でこの地を訪れたことや、福渡にある全長15メートルを超える復元舟は70~80俵の年貢米を積んでいたことなども説明した。
「江戸時代以降は神社の参拝客や参勤交代、人々の移動にも利用され、さまざまな文化をもたらしたが、1898年に中国鉄道が開通すると、文明開化の波によって高瀬舟は姿を消した」と話した。