城東に拠点を置く民間まちづくり団体・津山街デザイン創造研究所=岡山県津山市=は23日、新しい計画のキックオフシンポジウム「津山から世界へ~津山城東地区のまちづくり~」を開催。昨年4月に旧出雲街道の大曲沿いで発生した建物火災の焼け跡に、パリと津山を結ぶ現代建築デザイン研究拠点の整備を発表した。
近代建築の三大巨匠の一人であるル・コルビジェと、コルビジェの3人の日本人弟子の一人・吉阪隆正らのアーカイブを核とした施設の整備を計画した。近代国家の礎を築いた美作地域出身の蘭学者を顕彰する津山洋学資料館は、吉阪隆正が設立したU研究室出身の富田玲子氏が設計。吉阪隆正は、津山藩が生んだ天才蘭学者・箕作阮甫の玄孫(やしゃご)に当たるという。
建築史家・倉方俊輔大阪公立大教授が「ル・コルビュジェと吉阪隆正、由来の地・津山城東の建築の価値」、日本建築設計学会・遠藤秀平会長が「津山城東を世界とつなぐ リノベーションの可能性」と題して基調講演。
パネルディスカッションは倉方教授、遠藤会長のほか本村龍平観光庁参事官、トーマス・ダニエル京都大教授、川西敦史岡山大大学院環境生命自然科学研究科准教授が登壇。城東について「国際的になろうとしなくていい。地元に誇りをもち、良いところをしっかり残すリノベーションを」「他の重伝建にあって、津山にはないもの、例えば観光地化されきっていないところが逆に魅力だったりする」といった声があった。山本昇所長は「津山城東にはすべてがある。パリとつながるコンテンツもある。これを見える化していきたい」と語った。
同研究所が提案した城東を舞台にした観光振興案は、2022年と24年、観光庁の地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値事業に採択。民間の企業・団体と共同で取り組み年度内までに計11のリノベーションした宿泊施設などができる予定。
シンポジウムは同研究所主催、津山市、日本建築設計学会共催。西新町の津山洋学資料館で開催し、約80人が参加した。