川崎の津山中央病院は、重症大動脈弁狭窄症に対する新しい治療法で身体への負担が少ない「経カテーテル的大動脈弁置換術」(TAVI・タビ)の実施施設に認定され、1日から治療を開始している。県内で4施設目、県北では初。
同症は心臓弁膜症の一つで、大動脈弁が硬くなって十分な血液を全身に送れなくなる病気。高齢化により患者数が増えており、重症になると突然死の危険性も高い。
これまでは外科手術で胸を開く必要があったが、新しい治療法はカテーテルという管を足のつけ根から挿入し、人工弁(生体弁)を大動脈弁まで届けて留置するというもの。開胸せず、心臓を止めることもないことから身体への負担が軽くなるのに加え、入院期間も短いのが特徴だ。高齢で体力が低下していたり、ほかの疾患リスクを抱えていたりする患者が対象になる。健康保険も適用できる。
手術実績や専門医らの人員数、設備機器といった厳しい実施施設基準をクリアし、日本経カテーテル心臓弁治療学会(JTVT)から認定を受けた。各科の垣根を越えて治療にあたる「ハートチーム」を結成。1日には95歳と84歳の高齢患者に治療を行い、無事退院した。
松本三明心臓血管センター長と、ドイツで学んだ経験を持つ山中俊明心臓弁膜症治療部門長は「これまで手術が難しかった患者にとって選択肢が広がり、県北の高齢者らにはメリットが大きい。今後、実施件数が増えると見込んでおり、チーム全体で最良、最適な治療をしていきたい」と話している。
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新しい治療法「経カテーテル的大動脈弁置換術」を行う医師ら(津山中央病院提供)