岡山県津山市と、歴史的資源を生かしたまちづくりに取り組むバリューマネジメント(大阪府大阪市)は、津山市内の歴史的建造物を保存改修し「分散型ホテル」として活用するプロジェクトを本格始動させた。2026年11月の開業を目指しており、市は事業費の一部を賄うため、ふるさと納税を活用して10月以降、寄付を募る。
「津山城・城下町泊プロジェクト」と銘打って企画。文化財の「保存」にとどまらず、官民連携で 「活用」「体験」へと発展させ、観光振興と地域経済の活性化を図る。
活用する建造物は、国史跡・津山城跡(鶴山公園)の「鶴山館」、国名勝・衆楽園の「迎賓館」「余芳閣」、城東地区の登録有形文化財「旧梶村家住宅」。文化財としての価値を守りながら、フロント、 レストラン、 カフェ、 ラウンジ、客室などに加え、地域住民や観光客との交流機能を持たせたガイダンススペースなどを設置する。
市はプロジェクトの実現に向け、「ふるさと納税型クラウドファンディング」「企業版ふるさと納税」 などを通じて寄付金を募る。目標額は3億6000万円。特別返礼品として1組限定で、江戸時代の藩主の暮らしが味わえる第1号の「津山城主体験」などを用意する。
歴史的建造物の所有権を市が持ちながら、長期間にわたり運営権を民間事業者に設定する「コンセッション方式」と、複数の施設を一体的に運営委託する手法を採用し、持続的、効果的な維持管理を目指す。
3日に津山文化センターで会見が開かれ、谷口圭三市長が「多くの人に歴史の価値と魅力を体感してもらいたい」とあいさつ。バリューマネジメントの他力野淳社長は「まち全体が大きなポテンシャルを有しており、津山ならではの魅力を国内外に発信したい」と力を込めた。
