定数25に対して30人が立つ岡山県津山市議選は、23日の投開票が迫る。知名度向上に力を注ぐ新人、票固めと支持拡大を目指す現職、返り咲きを狙う元職が浮動票などの上乗せを狙い、熾烈(しれつ)な攻防を展開している。終盤を迎えた激戦の様子をリポートする。
30人の内訳は現職21人、新人7人、元職2人。街頭演説を交えながら選挙カーで市内を広く回るほか、個人演説会を開き、ラストスパートをかける。
「新人と女性が多く、厳しい戦いだ」。あるベテラン現職の陣営幹部は女性や若手を含む新人の動きに警戒感を示し、集会参加者にさらなる票の掘り起こしを呼びかけた。「高齢化やコロナの影響もあり、浸透度は読めない。若者にも積極的に声をかけ、あと2日に全力を注ぐ」と表情を引き締める。
人口の多い住宅街を地盤にする別のベテラン現職の陣営は実績と政策をアピールしながらも、投票率の低さを懸念。「4年前に比べて地区内の有権者数は大きく増えているが、投票率は低下傾向にある。1票1票の積み重ねが実を結ぶ。さらに支援の輪を広げ、優秀な成績で議会の壇上に送り出す」と必勝を誓う。
手探りで舌戦をスタートした新人たちは、顔と名前の売り込みに奔走する。30代は2人おり、若さを生かした活動を展開。ある陣営は「若いメンバーも多く、機動力と柔軟性で戦い抜く。危機感を持ち、地道に着実に上積みを目指す」と力を込める。SNSの活用を強化する陣営もあり、票の取り込みへ熱が帯びる。
新人の女性たちも地域をこまめに巡り、知名度アップに躍起だ。ある候補は「女性への期待の強さを感じるが、それに甘んじることなく最後までやりきる。男性から『地区から女性市議を出す』との声も上がり、心強い」。別の陣営も「女性の声を市政に反映させるため、何としても当選をつかみ取る。組織一丸で最後まで戦う」と決意を新たにする。
一方、元職2人は議会と市政のあり方を問いただし、考えや政策を主張。ある候補は1日10回の街頭演説をこなし「議会としてしっかりとチェック機能を果たし、市民目線でものごとを進める行政にしなければ」と訴える。
立憲民主や市職労の推薦を受ける新人の陣営は先の県議選を弾みにしたい考え。さらなる結束を図り、地元と組織の票固めを進める構えだ。
投票率は前回53・71%(前々回58・70%)と過去最低を更新。各陣営とも当落ラインを占う投票率の動向に気を揉む。3減となる定数や勢いを見せる新人との絡みもあって票は読みづらいが、陣営からは「ラインは900〜1000票か」「1200〜1300票あればいける」「20位以下は数十票差の団子状態では」との予想も出ている。
連日各候補の訴えが響くが、有権者の反応は厳しい。市内の40代の女性は「物価高の中、へき地の福祉にもっと支援が行き届くような取り組みを。議員には地域の現状、現場をしっかり知ってもらい、その上で政策を打ち出してほしい」と求めた。