津山市は12日、城西地区の藺田川に架かる「翁橋」(宮脇町、西今町)=国登録有形文化財=が、土木学会の「選奨土木遺産」に認定されたと発表した。美作地域では初めてで、県内10件目。大正から昭和初期に全国各地で架けられた橋りょうの中でも、橋面がれんが舗装された橋は数少なく、当時の舗道れんがが全面に残っている極めて貴重な事例と評価された。
同橋(長さ10㍍、幅9・8㍍)は、1926(大正15)年に架け替えられ、城西地区の中でも存在感のある市道橋。2020年2月に市が実施した橋の修繕設計に伴う試掘調査で橋面のアスファルトの下が特殊なれんがで舗装されていることが発見された。その後、歴史まちづくり推進室と文化課の調査で、れんがは車道用の舗道れんがと判明。生産は、備前市伊部にある品川リフラクトリーズ(当時は品川白煉瓦)の工場だったことも分かった。
舗道れんがは関東大震災の復興需要で23(同12)年から生産が増大し、35(昭和10)年ごろには生産を終了。その後、コンクリート、アスファルトに取って代わられた。わずか13、4年という短期間での生産終了となったことから、全国的に施工事例が少なく、現状で舗道れんがを用いて橋面舗装した橋の存在が確認されているのは翁橋だけという。
土木学会中国支部の推薦を受け、9日に土木学会本部理事会によって承認された。年度内に認定書授与式が開催される予定。
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翁橋の全面に残っていた舗道れんが(昨年12月)