津山市の私設美術館4館でつくる「つやまアートミュージアムユニット」は、市出身の洋画家・日原晃氏(1910〜97年)を顕彰する回顧展を8日から11月6日まで、山下の津山文化センターで開く。初公開を含む約60点を展示し、多くの画家を育て上げた画業の全貌をたどる。
ユニットはカンダミュージアム、河野美術館、M&Y美術館、保田扶佐子美術館で構成。文化都市・津山の再築に向け、公立美術館の開館を目指す活動の第1弾として企画した。
日原氏は院庄に生まれ、岡山の洋画研究所や東京の画学校を経て、日本大学芸術学部に入学し、寺田万次郎、柳亮に学んだ。帰郷後、自宅に「こどものアトリエ」を開設して小学生から大人まで常時約100人を指導し、多くの後進を送り出した。日展審査員、同参与を歴任しながら、「山陰の海シリーズ」を描き続け、県北画壇の大御所として活躍。受賞歴は日展特選、新日展菊華賞などがある。
ユニットメンバーで画家の保田扶佐子さん(80)=押入=は「確かなデッサン力に裏打ちされた、力強く重厚感のある作品は見るものを圧倒する。津山アート界の恩人のような方」と魅力を語る。
地域の文化資産を後世に伝える上で、ユニットは「市内の個人宅で多数所蔵されている郷土ゆかりの画家の遺作が埋もれていく現状がある」と危惧。「作品を寄託したい市民の受け皿にもなり、豊富な収蔵機能のある美術館の開館を目指したい」としている。
回顧展では毎週日曜日午後2時から美術講師との絵画巡りもある。午前10時〜午後5時(木曜休館)。入場無料。
問い合わせは、同センター(22-7111)。
津山文化センター「つやまアートミュージアムユニット」