岡山県津山市が進めていた津山市山下の津山文化センターの耐震補強と大規模改修工事が完了し、1日にリニューアルオープンする。エレベーター棟を新設しバリアフリー化したほか、アートライブラリーや屋外テラスなどを新たに設けた。芸術・文化活動の支援や子どもたちの豊かな感性の育成、にぎわい創出などに期待が高まる。
津山のシンボル的な存在で、せり出す軒を支える「斗栱(ときょう)構造」をコンクリートで表現した建造物。1965年12月のしゅん工、翌1月の開館から約50年が経過して老朽化が目立ち、耐震診断で震度6強の揺れに対応する対策が必要と指摘されていた。
近代建築物としての意匠性の高さなどから、新築ではなく大規模改修を選択。外観や内部のデザインの継承をコンセプトに、機能・安全性を向上させて長寿命化を図ることとし、2018年3月から約2カ年の工事に入った。
改修では、センター東側にガラス外壁のエレベーター棟を新設し、地下1階から3階までの移動が容易になった。大ホールの客席は1003席(改修前1054席)あり、座席を一新して広くし、舞台を見やすいよう千鳥配置にした。車いす専用座席や、中2階に親子室(8席)を設けた。
3階には展示などにも使えるアートライブラリー、2階に津山城跡の石垣を眺められる屋外テラス、ダンスなどに利用できるレッスン室を新設。東側と南側のエントランスを増築し、展示ホールを改修、トイレのバリアフリー化や空調・舞台施設・音響・照明の改修を行った。各種会議室や市民サロン、和室なども備える。耐震工事では、ホワイエのある1階から3階まで耐震壁を入れたほか、柱を炭素繊維のシートで覆って補強した。総事業費は国の補助金を活用し17億748万円。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、26日に予定していたリニューアルオープン式典と内覧会は中止した。記念イベントとして、来月29日に予定されているバイオリニスト・高嶋ちさ子さんのコンサート(チケット完売)を皮切りに、20年度中に古典芸能などさまざまなジャンルの催しを計画し、リニューアルに花を添える。
市は「利便性が向上し、一層の利用促進やにぎわい創出につなげ、市民の財産として後世へと大切に守っていきたい」としている。
利用などに関する問い合わせは、同センター(℡0868-22-7111)。
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耐震補強と大規模改修工事が完了した津山文化センター
※メモ【津山文化センター】1965年、当時の市民の強い思いと寄付により、県北唯一の1000人規模の大ホールを持つ文化施設としてしゅん工した。設計は建築家の川島甲士氏(1925〜2009年)、展示ホールの壁画はグラフィックデザイナーの粟津潔氏(1929〜2009年)が手がけた。日本古来の社寺建築に見られる「斗?(ときょう)構造」をコンクリートで表現しているのが最大の特徴。意匠的な建造物として高い評価を得ている。