津山郷土博物館企画展「作州絣―ひと・こと・もの―展」が8日、岡山県津山市山下の同館で始まった。県指定郷土伝統的工芸品でもある市特産の「作州絣(かすり)」の歴史と技術の保存と伝承に取り組む保存会の活動を知る展示品に来館者たちが関心を寄せている。3月23日まで。
作業着として古くから親しまれていた絣に着目し、戦後に岡山県工業試験場美作分場(のちに津山分場)が産業振興計画の一つとして製造販売を開始した。1955~58(昭和30~33)年に最盛期を迎え、観光や経済の発展にも寄与したが、時代の流れとともに廃れていった。その後製造関係者たちの協力と約10年の研究を経て愛好家たちが2012年に「作州絣保存会」を立ち上げ、現在も普及に務めている。
館内には同試験場美作分場が行っていた研究資料や最後の織元となった「大一織物」(故杉原博社長)製作の着物や反物をはじめ、保存会が所蔵する作品や道具など77点を展示。藍色に染まった木綿の風合いと扇や竹などの繊細な文様を織り出した「絵絣」は機械で表現するのは難しく、手仕事ならではの技巧の高さがうかがえる。
さらに保存会が実用的にアレンジして作った小物やかばん、子ども服といった製品も並ぶ。乾康二次長(57)は「戦後の復興にも貢献した作州絣の魅力と地域の伝統を現代によみがえらせようと努力している方々の姿を知り、興味を持ってもらえたら」と話している。
3月2日と16日は同館で午前10時から製作ワークショップを開催。各回先着順に参加者15人を26日まで募集している。このほか、ギャラリートークも予定している。詳しくはホームページに記載する。
![会場に展示された大一織物製の着物や反物](https://tsuyamaasahi.co.jp/wp/wp-content/uploads/79d05b53a440e3dd755ff7bfdbc46b4e-1024x683.jpg)