岡山県美作市文化財講座(同市主催)が17日、同市湯郷の湯郷地域交流センターで開かれ、歴史学者で真庭市蒜山博物館長の前原茂雄さんが「中世【湯郷】の歴史的景観~領主・城館・温泉~」をテーマに話した。
室町時代からも人々に親しまれていた温泉地と住民との関わりや、在地領主だった後藤氏について史料を交えて解説した。
10世紀の源高明(醍醐天皇皇子)の歌や13世紀の藤原定家の日記を引用し、「当時から公家の間でも親しまれ、膝や足の病気に効能があると都でも知れ渡っていた」と紹介した。
従来からあった温泉場は後藤氏が特権的に支配し、入湯料や鎮守神への勧進物を納めさせていたことを説明し、「農民たちは旅人の世話や施設の修復のほか、湯大明神の神田耕作なども担っており、温泉の運営を支えていた」と強調した。
さらに後藤氏や使者が頻繁に京都現地の地形や地名から、現在の「柚子の里 千里園」の辺りに後藤氏の本拠地があったことや、領主のものとみられる墓石を突き止めたと報告した。
歴史愛好家や地元住民ら約70人が聴き、地域の歴史を熱心に学んだ。