特別展「博学弁才無双・津山藩主松平康哉―学び続ける人々―」が山下の津山郷土博物館で開かれ、津山松平藩5代藩主の康哉ゆかりの資料が来場者の興味を引いている。12月18日まで。
「寛政の改革」で知られる江戸幕府老中の松平定信に「博学弁才無双」と評された人物にスポットを当て、関連資料約40点を展示。
藩政改革の一環で津山版「目安箱」と共に掲げた高札、名君で知られる熊本藩主・細川重賢が康哉に藩主の心得を助言した書状、紀州藩の知人に世界地理書の借用を依頼した書状の控え、定信から借りた空気ポンプ装置による動物実験の図説が掲載された『遠西医方名物考補遺』など、政務に励む傍ら奨励した学問への興味をうかがわせる。
さらに幕府の奥絵師に入門したことを記した江戸日記、白銀の富士を薄墨で描いた「芙蓉峰春霽図」、「柳に鳩図」、流麗な筆使いで和歌をしたためた懐紙は美術、文芸への造詣の深さをしのばせる。
晩年召し抱えた藩御用絵師・鍬形?斎が写実性を極めた「菊図」、有能な官吏で画人としても知られる広瀬臺山の「菅公像」、康哉が著作を称賛した藩医・宇田川玄随の肖像も目を引く。
広島市の大学教授・福田道宏さん(49)は「藩政を進める中でさまざまな才能ある文化人を起用し、交友関係も幅広かったことが分かる。狩野派絵師に学んでこんな上達した作品まで描き、濃密な生きざまが垣間見える」と話していた。
午前9時〜午後5時(入館4時半まで)。月曜休館。特別展関連企画として26日、三宅正浩京都大学大学院准教授による記念講演会「近世中期の藩政改革」が同所の津山圏域雇用労働センターで開かれる。先着80人。
問い合わせは、津山郷土博物館(●224567)。
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松平康哉がたしなんだ絵や和歌などに見入る来場者
特別展「博学弁才無双・津山藩主松平康哉―学び続ける人々―」
- 2022年11月2日
- 芸術