ガラス工芸作家の浅井千里さん(42)と中野由紀子さん(43)の展覧会「琴線」が4日、岡山県苫田郡鏡野町の妖精の森ガラス美術館で始まった。蛍光色に発光する「ウランガラス」をはじめ、色とりどりのガラスを用いた神秘的な作品が来館者を魅了している。12月18日まで。
2人は倉敷芸術科学大学の同期で、伝統的な「吹きガラス」を基盤にそれぞれが得意とする技法で作り上げた近作計75点を出展。
浅井さんはガラス棒を使った技術「ケインワーク」で、さざ波のような曲線模様のグラスやカラフルなチェック柄の器などを制作。繊細な線と透き通る色彩が際立っている。
一方中野さんは、「エナメル彩」といった技巧を駆使し、天地、動植物、海をモチーフにした皿や花瓶などの日用品を発表。顔料や上絵の具で花や葉っぱを描いたり、色ガラスを混ぜて地層のような複雑な模様を浮かび上がらせたりして自然界の美しさを表現している。
「植物を光に透かすと葉脈や花脈が見える。まるで人間のように血が通っているように思え、生命の尊さを感じる」という中野さん。「自然の景色を眺めて、感じ取ったエネルギーや感動したものを作品に込めている。作品を観た人の感性や心の”琴線”に触れられたらうれしい」と話している。