看護週間は看護の日(5月12日)を含む週の日曜〜土曜日。看護、ケア、助け合いの心を育むきっかけになるよう制定された。岡山県看護協会津山・勝英支部の杉敏子支部長(津山中央病院看護師長)に、医療現場の最前線に立ち患者に寄り添う看護師たちの話をきいた。
――新型コロナウイルス感染者が昨年から美作地域でも多く確認されています。看護師を取り巻く状況はどのように変わりましたか
昨年、全国的に感染が拡大し始めた頃は、未知の存在だったため全てが手探りでした。(津山中央病院は)患者の受け入れ病院ということもあり、とにかく感染予防対策に努めました。感染を広げてはならないとの思いで看護に当たりました。もちろん医療従事者も不安でしたが、現在は知識や情報量が増え、何が起きても対応できる体制が整えられているので落ち着いています。
――感染者の受け入れ体制整備に向け、どのようなことに取り組みましたか
医療に当たる上での防護服は欠かせない道具ですが、院内では着脱訓練を何度も行いました。独自のマニュアル動画を作成し、職員へのテストも実施するなどして指導を徹底しました。同僚には不安を和らげるために「大丈夫?」などと声掛けをしていましたが、弱音をはく人もおらず心強い存在でした。患者への面会制限も従来はなかった状況であり、タブレットを活用するなどの工夫をしています。直接会うことができない状況下で、御家族に説明が行き届くのか心配でした。
――看護職業界の課題は
美作地域では、地域医療を担う人材が不足しています。看護師確保対策と定着が重要になります。看護師の職場は病院だけではなく介護施設、訪問看護ステーションなど働く場所は多彩です。津山中央病院のように救急医療の現場もある。未来の看護師に地域の医療現場の魅力をどう伝えていくかが課題です。
そのために美作地域の看護職と、看護学生との交流事業などがあります。いまはコロナのため対面では開催できていませんが、オンラインで行っています。
――どのような看護業界を目指していますか
働きやすい職場環境づくりが大切だと思います。特に子育て支援体制は重要だと思います。働きやすい環境をつくらないと看護師の確保もできませんし、定着も難しい。
そして、現状から言うと、感染症対策の確立です。何が起こっても動じない感染対策を目指したいと思います。みんなが同じ方向を向いて対応できることが必要ですね。
――看護職の魅力を教えてください。
患者さんがよくなって退院していく姿を見るのはやはりやりがいを感じます。看護師は身の回りのお世話以外に生活指導をする場面があります。自宅に帰られてから困らないような指導が出来ることが大きな役割としてあります。そのためには私たちはしっかり知識を持ち、患者さんと家族に説明し、納得してもらって退院して頂く必要があります。また、いろんな人と連携をとることが大切で、看護師だけではなく薬剤師、栄養士、リハビリの専門家やケアマネさんたち、地域団体との連携が重要になってきます。やりがいある仕事です。
――市民へのメッセージをお願いします
いまはやはり一人ひとりが感染症対策をしっかりやっていただきたい。手洗い、マスクの着用、三密を避ける、換気をする。体調が悪い時は休む、不安があったら相談するということが大切だと思います。いろんな情報が流れていますが、誤った情報にまどわされないことが大事です。
他人への思いやりを持って、みんなで協力してコロナを乗り越えていきましょう。
杉敏子支部長
プロフィール
20歳で看護師に。2004年から津山中央病院に勤務し、14年から看護師長を務める。今年4月に県看護協会津山・勝英支部支部長に就任。新見市出身。旧落合高校(現真庭高校落合校地)卒。美咲町西川在住。53歳。
写真
岡山県看護協会津山・勝英支部の杉敏子支部長