「稲葉さんの出身地が津山なので気合が入っています」――。B’zのボーカル・稲葉浩志さんのものまね芸人として活躍する真庭市勝山出身のハロー植田さん(40)=本名・植田勝彦さん=は吉本興業所属の芸人。そっくりの歌唱力をネタに会場を盛り上げる。昨年11月に「岡山住みます芸人」に就任し、津山市や真庭市などをPRしながら各地を巡っている。
ものまねについては「大好きだからネタにしようと考え、披露したら反響がよかった」と語る。「独身ですか?」という観客の質問に「♪バカなこと聞かないでプリーズ」(曲名・DIVE)とB’zの楽曲を歌いながら返答する。人気のこのネタはスピードが求められるため、どんな話題を振られても歌って答えられるように歌詞はすべて頭の中に入っている。「毎日のように曲を聴いていたので自然に身についてしまった」と語る。
B’zのファンになったのは中学2年生の時。「かっこいいから見て!」と友人に勧められたライブビデオを見て、パワフルなステージとパフォーマンスに感激した。その日からCDやビデオを買い集め、テレビで出演する番組も欠かさずチェック。高校生の時には、津山にある稲葉さんの実家の「イナバ化粧品店」を訪れ、学生時代のエピソードや歌手になった話などを両親から聞いた。「当時は本気で稲葉さんになりたいと思うほど熱中した」。
芸人を目指すきっかけになったのは、大学時代に出合った「漫才」。地元の高校を卒業後に入学した奈良産業大学(現在、奈良学園大学)ではバラエティ番組の「吉本超合金」が話題になっていた。そうした中、同番組のライブチケットが当たり、実際の舞台を見て衝撃を受けた。ライブから帰ってすぐに漫才のネタを考えるほど本気で〝芸人になりたい!〟と思い、大学3年生の時に吉本総合芸能学院(NSC)に入学。学業と両立させながら勉強し、4年生の時にオーディションライブに挑み、見事合格を果たした。
デビュー後は大阪で活動を始め、漫才コンビ・テンダラーの白川悟実さんに声をかけてもらい、サバンナの高橋茂雄さんなど芸人の先輩や仲間たちが集まる飲み会へ。そこでマナーや礼儀を教えてもらったり、芸を学んだりした。
持ちネタが誕生したのは「お前、B’zの歌詞で何かできへんのか?」と高橋さんの一言。「好きな食べ物は?」と聞かれると、「♪Hey、Hey、ワカラナイ」と「BADCOMMUNICATION」を歌うなどして、お互いの会話の中で面白いと思ったフレーズを「ネタ帳」に書き留めるようにした。
「お前の可能性は東京や!」と高橋さんの薦めで東京でも活躍をするように。目を掛けくれた今田耕司さんの紹介で、テレビ番組の出演や本番前に芸を披露する「前説」を務めるなどして実力をつけてきた。このほか、白川さんには引っ越しの面倒を見てもらうなど仕事だけでなく生活面も助けてもらった。「先輩や仲間たちとの付き合いで鍛え上げられた。受けた恩はたくさんあり、語りきれない」と話す。
40歳を節目に「芸人として地域を盛り上げたい」と同社の地域の活性化や地域発信を目的としたプロジェクトに参加。先輩芸人らに見送られながら帰郷した。津山では昨年11、12月に津山まなびの鉄道館と津山銀天街でライブを行い、観客を笑いの渦に巻き込んだ。「エフエムつやま」に隔週で出演するなど今後の活躍に期待が膨らむ。「子どもからお年寄りまで元気にできる芸人になりたい。将来はトークライブや祭りなどイベントにも参加できればうれしい」と意気込んでいる。
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B’zのボーカル・稲葉浩志さんのものまねを披露するハロー植田さん=真庭市勝山
真庭市勝山出身のハロー植田さん(40)=本名・植田勝彦さん=
- 2021年2月22日
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