「社会的養護」への理解を広げようと、NPO法人未来へ(藤本翔大代表)が23日、岡山県津山市新魚町のベルフォーレ津山で「社会的養護って何?」と題した啓発イベントを開いた。県の「子ども家庭課社会的養護自立支援拠点事業」の一環で、約200人が来場した。
社会的養護とは、虐待や家庭の事情で親元を離れて暮らす子どもたちを社会が支える仕組み。しかし、その言葉さえ知らない人は少なくない。未来へは「まず知ることから始まる」とし、映像と音楽、当事者の声を通じて学べる2部構成で実施した。
第1部では、アニメ映像に合わせて藤本代表ら6人の音楽家が生演奏を披露。音と映像が重なり、「社会的養護」や「児童自立援助ホーム」の役割をやさしく伝えた。
第2部の当事者対談には、一般社団法人たすけあい代表理事の田中れいかさんと、一般社団法人コンパスナビ代表理事のブローハン聡さんが登壇。児童養護施設で育った自身の経験を語り、「施設に入って、初めて毎日食べられる生活になった」などと話した。「SOSを出すのは命がけ。声を上げた子どもたちを支える大人が必要」などと訴えた。
続くパネルディスカッションには、この2人に県内の専門家2人が加わり、藤本優会長の進行で「子どもたちはどこから来るのか」をテーマに意見を交わした。「保護される理由の多くは虐待」「愛情に飢えた状態からの再出発には周囲の理解が欠かせない」と現場の実情を共有。「いい大人もいると知ってほしい」「自分のことを嫌いにならないで」など、子どもたちへ向けた力強いメッセージが続いた。
