津山市は1日、同市出身の新興俳句の旗手・西東三鬼(1900〜62年)を顕彰する俳句賞「第29回西東三鬼賞」に、宮城県仙台市の会社員・荒井大輔さん(38)の「転生のたびに手袋落とすなり」を選んだと発表した。歴代最年少での受賞だ。
荒井さんは大学在学中に俳句を始め、過去に3回ほど応募。初入賞で大賞獲得となった。「長い人生の中での紆余曲折などを表現した。日々の生活から着想した」と作品への思いを語る。選考結果を受け「驚くとともに名誉に思う。今後も精進する」としている。
今回は、45都道府県と海外2カ国の554人(14〜94歳)から計3843句が寄せられ、現代俳句協会副会長の寺井谷子副会長ら3人が選考委員を務めた。荒井さんの句について「重層性と象徴力、そして全と個の世界を行き来できる魅力があった」「『転生』の中で『手袋』が暗示するもの。強固な一句」などと講評した。
秀逸10句、入選30句も選んだ。美作地域からは、永禮宣子さん(81)=志戸部=の「三鬼忌の赤い猫なら連れて行く」、福島徑子さん(82)=東一宮=の「下駄音の左右で違う父の夏」が秀逸、?村令子さん(92)=奈義町滝本=の「おでん種のやうな人々里ぐらし」、沼本静江さん(80)=久米南町下弓削=の「駅頭の三鬼と不舎や夏の雲」が入選となった。
表彰式を4月1日に山下のザ・シロヤマテラス津山別邸で予定している。
第29回西東三鬼賞