岡山県津山市は1日、同市出身の新興俳句の旗手・西東三鬼をたたえて設けた第31回「西東三鬼賞」に、千葉県柏市の山崎寿仁さん(70)の句「人は赤馬は青紙代田掻く」を選んだと発表した。
全国の632人(13~98歳)から4394句が寄せられ、現代俳句協会副会長の寺井谷子さんら3人が選考。大賞のほか秀逸10句、入選30句を決めた。美作地域からは津山市の妹尾武志さん(90)が入選した。
大賞作は、「先の戦争にあった理不尽を強く糾弾することなく、二つの『紙』で書いた。太平洋戦争へ人は赤紙で応召された。ところが馬も応召されたのである。それが「青紙」だという。今、その人と馬が一体となって代掻きしている。この幻像に、言葉を尽くしての戦争批判は及ばない」などと評価された。
「句歴はほんの数年に過ぎません。あるとき俳句を始めようと思い立ち、地元において俳句教室に通い、また俳句会に入るなどしてこれまで俳句作りに取り組んできました」という山崎さん。「わたしの父親は農家の出身でしたが、19歳で出征、シベリア抑留までも経験しました。大戦では全国津々浦々から赤紙という召集令状一枚で実に多くの人々が戦地に送られ、そしてたおれ傷つきました。同時に馬もまた青紙とも呼ばれた召集令状(馬匹徴発告知書)により人馬一体の号令のもと戦地に送られ無残な運命をたどりました。あの戦争の悲惨さ、不条理さにおもいをはせ拙くも鎮魂の気持ちを込めました」と受賞のコメントを寄せた。
同賞委員会は入賞作の小冊子を作製。希望者には200円で販売している。
表彰式は3月28日午前11時から、津山市役所大会議室で開かれる。
問い合わせは、市文化課(TEL:0868-32-2121)。