建設を巡って約40年に及ぶ反対運動が繰り広げられた苫田ダムに関する資料の収集・保存に取り組んできた有志のグループが、ダム問題と阻止運動を振り返る初の資料展を29日から7月7日まで、岡山県苫田郡鏡野町竹田のペスタロッチ館で開く。
500戸を超える家屋が湖底に沈み、2004年度の完成から20年になる苫田ダム。1957年に建設構想が明らかになり、旧奥津町が「絶対阻止」を町是とするなど、町を挙げた激しい反対運動が展開された歴史がある。
反対運動に関わった人や関係者でつくるグループは、運動のリーダーだった津山市の故矢山有作氏(1924〜2017年)の遺志を継ぎ、公的な保存を目指して写真や映像、文書など数多くの資料を収集。2021年に計754点を鏡野町に寄贈した。
展示会は「いま、あらためて苫田ダムを問う」と題して企画。寄贈資料の中から、町を揺るがしたダム問題の象徴的な写真や新聞記事のほか、年表パネルなど約100点を並べる。初日の29日は、65年前に旧奥津町が「苫田ダム阻止特別委員会条例」を制定した記念の日だ。
グループ代表の武田英夫さん(77)=岡山市東区=は、当時の長野士郎知事が町に対し、補助金を出さないなどの行政圧迫を強めた点を厳しく指摘。3年半で3人の反対派町長が辞職に追い込まれるなど町政は混乱した。
「県政上も大きな問題となった苫田ダム。問題を振り返り、政治と行政の在り方を見直す機会にするだけでなく、ダムが抱える治水、利水、環境、安全などの今日的な課題を浮き彫りにする機会にしたい」と話す。
初日は午前10時からオープニングセレモニーを行い、11時14分と午後2時からの2回、武田さんらによるトークイベントを行う。
展示は午前10時〜午後5時(最終日4時)。入場無料。
問い合わせは、武田さん(TEL:090-8710-1070)。