岡山県が本年度から開始した「子育て家庭留学事業」。結婚や子育てに関心や不安のある若い世代が子育て中の家庭を訪問し、子どもとの触れ合いや先輩ママ・パパとの交流を通して将来設計のヒントを得る体験型プログラムだ。
県北で受け入れをしている県議会議員で農業を営む本山紘司さん(45)=鏡野町小座=の自宅に、結婚や子育てに対し、漠然とした不安がある弊社の28歳男性社員が訪問。その様子を取材した。
11月初旬、本山精耕園の社長で農業を営む妻の由加里さん(43)とともに笑顔で快く出迎えられた。本山さんは高校1年生の長女・水晴さん(16)、中学3年生の長男・晴人さん(14)、小学4年生の次男・泰地君(10)、1年生の次女・千滉ちゃん(6)、3男・尚季君(5)、4女・白華ちゃん(4)の8人家族。
祖父が林業を営んでいた同所で生まれ育った本山さんは、農水省に入職し農業政策に携わっていたが、東京で子育てや自身のキャリアプランを立てていくことに疑問を感じ、第1子を授かったタイミングで脱サラしUターン。水稲栽培を中心に事業を軌道に乗せ法人化させた。「幼少期は自分が育った自然豊かな田舎でいろいろな体験をしてもらい、人間性や非認知能力を育んでもらいたい」という強い思いがあったという。
「兄弟が多いとけんかをしながらも社会性を学ぶことができる」「6人一人ひとりがとにかくかわいいし好きなものが違う、成長が楽しみ」「声掛けの仕方や興味の引き出し方のこつをつかめる」など子だくさんならではの楽しさや、互いにリスペクトしあう夫婦の関係性なども伺え、子育ての先輩からの貴重な体験談をたくさん聞かせていただいた。
このあと小学校と保育園のお迎えに同行し、園ではあいさつを交わした男性社員に尚季君と白華ちゃんが「抱っこして」「かくれんぼしよう!」と人懐っこい笑顔を見せ、帰宅後は一緒に菓子を食べたり、外で元気いっぱいに走り回ったりしながら楽しいひと時を過ごしていた。
参加した男性社員は「優しく温かく迎え入れてもらえ、子どもたちがずっと元気でかわいくて癒やされた。子育てや結婚生活に対する漠然とした不安を抱いていたが、子どものためにと思えば案外仕事も子育ても頑張れるかもしれないと感じた」と振り返っていた。
県子ども未来課は「SNSでは結婚や子育てのネガティブな情報を目にする機会が多いが、大変な面だけでなく実際に現場に行って子育ての幸福感やリアルを感じてもらえたら」と話している。
受け入れ家庭と参加者を来年2月末まで募集している。対象者は県内の大学生や20〜30代で、友人やカップル、夫婦での参加も可。留学は1日のうち、3〜5時間程度。体験内容や受け入れ先の家庭は参加者の希望に応じる。2日現在の参加者は18組22人、受け入れ家庭は36組が登録している。参加無料。県のホームページ内の専用フォームから申し込む。
問い合わせは、同課(TEL:086-226-7347)。