岡山県山市が検討を進める美作大学の公立化について、専門的見地から議論する「有識者検討会議」(西山修岡山大学大学院教育学研究科副研究科長、9人)の2回目の会合が17日、山北の市役所で開かれた。市が高校生と企業に行ったアンケート調査の結果が報告された。
高校生向けアンケートは、美作大学に進学実績のある県内外の高校の2年生7117人中3308人が回答。進学先としての「興味・関心」では現在の美作大学9%に対し、公立化する場合は20%と約2倍に増加した。
企業は津山圏域をはじめ県内459社中128社が答えた。71%が公立化に期待を寄せ、「優秀な学生の地元就職や地域の活性化、持続的な発展につながる」との肯定的な意見の一方、「他大学との差別化が図れるような学部がなければあまり需要はない」との懸念もあった。
「新設を望む学部」は、高校生の男女合計で見ると「経済・経営・商学」(451人)、「教育学」(427人)、「人文学」(409人)の分野が多かった。男子は理系分野への志向が強く、女子は看護など医療福祉系の希望も多かった。
一方、人材を求める企業側は「工学」(43社)、「情報・データサイエンス」(30社)の理系に次いで、「経済・経営・商学」(23社)が上位だった。
高校生と企業が望む新設学部で上位になった分野を絞り、地域性・将来性・経営面の観点から総合的に判断すると、「工学」「情報・データサイエンス」「看護」の3分野が高評価を受けた。
会議では委員から「全国から学生が集まる魅力がないと、人は増えない」「地域の医療を支えるため看護学部を作り、学生たちに地元に残ってもらいたい」といった意見のほか、看護や情報系は教員の人材確保の難しさについて指摘があった。
次回は9月2日、「公立化後の収支」などを議題に行う。
