美作大学=岡山県津山市=の公立化をめぐり、有効性などを議論してきた有識者検討会議は13日、「公立化は学生募集や財務基盤の強化の面でより実現可能性が高い」とする報告書を谷口圭三市長に提出した。市長はこれを判断材料とし「年度内に基本的な方針を示したい」としている。
報告書では、公立化した場合のメリットとして▽現在よりも授業料が安くなる一方、国からの補助が増加し、安定した財源の確保が見込まれる▽知名度、ブランド力の向上により学生確保の可能性が大幅に高まる―などを挙げている。一方で、施設の更新費用など将来的な市の財政負担リスクを伴うことなど課題も示した。
私立のまま存続した場合は「累積赤字の拡大が見込まれ、自助努力のみで持続可能な経営基盤を再構築することは極めて困難な道のり」と指摘。公立化以外の存続方策として、「他法人への経営譲渡」「市による独自支援」「広域での取り組み」などを検討したが、「いずれも即効性や実現可能性に乏しい」と評価した。
この日、西山修会長(岡山大学大学院教育学研究科副研究科長)が山北の市役所を訪れ、谷口市長に手渡した。西山会長は「メリットだけでなく課題や留意点も示している。掲載したデータなどを踏まえながら判断してほしい」。谷口市長は「美作大学は人材育成や産業面でも地域に欠かせない存在。報告書の内容を真摯に検討し、適切に判断したい」と述べた。
有識者検討会議は、少子化などから定員割れが続く同大学の存続方策について議論。6月から計5回の会合を開き、収支などさまざまな試算やデータを用いて多角的に検討し、提言として報告書をまとめた。
