美作大学客員教授連続講演会「地方創生論」が29日、北園町の同大で開かれた。前高知県知事の尾﨑正直氏(53)が「持続可能な地方創生を目指して」をテーマに話した。
「人口減少は大前提。田舎ほど外へ打って出る必要がある」と前置き。尾﨑県政のキャッチフレーズにしてきた、県外・海外からの外貨獲得のための「地産外商」について「ないものねだりをせず、自らが持てる強みを生かす」とし、「各分野で地産外商を前進させることで県外観光客・移住者も大幅に増加した」と成果を語った。
「地方創生は一過性の成功事例紹介ではない。持続的に成長し続ける地域づくりが目標」と強調。そのうえで事業の成功を持続可能にするシステム、地域経済全体を底上げするネットワーク、新たな事業を生み続けるプラットフォームの必要性を説明した。
災禍と幸福は表裏一体という意味の「禍福はあざなえる縄のごとし」を引用して「世の中の大きな流れを生かして」と語りかけ「高知県は戦後の太平洋ベルト地帯構想からはずれ重化学工業化に遅れたが、水質日本一の清流と美しい海岸が残った。いまやこれが大きな財産」と述べた。
コロナ禍のなかの地方創生に言及し「リモートの普及は距離のハンディ解消のチャンス。デジタル化の加速は東京一極集中構造を反転させ得る可能性がある。逆境をチャンスに」と訴えた。
4連続講演会の初回で、美作地域の行政職員や学生ら約100人が聴講した。次回は20日、前京都府知事の山田啓二氏が「新しい地域の自治を目指して」を演題に話す。
写真
講演する前高知県知事の尾﨑正直氏
美作大学客員教授連続講演会「地方創生論」
- 2020年11月30日
- 経済・産業