若年性認知症セミナーが12日、北園町の美作大学100周年記念ホールで開かれた。当時者の丹野智文さん(48)=仙台市=が「認知症とともに生きる」と題して講演した。
丹野さんは39歳のとき若年性認知症と診断された。仕事のかたわら、全国各地で講演活動や支え合う地域社会づくりに取り組んでいる。
「終わったと思った」。妻と診断結果を聞いたときのことをそう振り返った。しかし会社の理解と協力があり働き続けることができたと述べ「認知症を悔やむのではなく、共に生きることを選んだ」と話した。
「偏見が怖かったが、オープンにすることで大勢の人が助けてくれるようになった」といい「当事者は自立することが大切」と強調。そのうえで「僕はこれから多くの人の顔を忘れていくかもしれない。でも皆さんは僕のことを忘れないと言ってくれる。そんな思いに生かされている」と語った。
今年1月に地域共生社会実現を目的に設立された、NPO法人おかやま地域福祉研究所COM(小坂田稔理事長)主催。美作地域の福祉関係者ら約70人が参加した。
写真
若年性認知症について話す当事者の丹野さん
美作大学100周年記念ホール 若年性認知症セミナー