県古代吉備文化財センターは、美作市城田の「大林遺跡」で発掘調査を進めている。中世末から江戸時代初期とみられる塚と、江戸時代中期以降の土葬墓が見つかり、銅銭などの遺物が出土している。
同地区は英田地域と美咲町柵原地域の境付近にあり、調査地(約1000平方㍍)は県道379号沿いの丘陵上に位置。地域高規格道路「美作岡山道路」の整備に伴い、発掘を行っている。
中世末から江戸初期と推定される塚(長さ6㍍、幅3㍍)は、盛り土がひょうたんのような形をしており、地元では「瓢箪(ひょうたん)塚」と呼ばれている。頂部から長方形の墓坑(墓穴)1基が見つかり、骨のかけらや木炭が土に含まれていたことから火葬墓とみられる。銅銭約10点、銅製の毛抜き、石塔の一部とみられる石造物が出土した。塚の周りには溝状のくぼみが巡ることも確認された。
塚の北側では江戸時代の墓地も調査中で、これまでに17基の墓坑が見つかった。木製の「座棺(ざかん)」に遺体を納めて土葬した穴で、ほとんどが円形で直径約1㍍〜1㍍30㌢、深さ1㍍前後。底部から副葬品のすずり、キセルと火打ち金、化粧に使う紅猪口(ちょこ)、銅銭の寛永通宝などが見つかった。銅銭をひもで束ねた「さし銭」が数基の墓坑から出土したのも特徴という。座棺の底板が残存しているものもあった。集落の人々を埋葬したと考えられるという。
調査を担当する岡本泰典副参事は「中世から近世にかけての墓制や、埋葬の習俗などを研究していく上で貴重な成果。さらに調査を進めていきたい」と話している。調査は19日まで行われる。
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1中世末から江戸時代初期とみられる「瓢箪(ひょうたん)塚」