美咲署長
佐々木敏晴
「安心安全の久米郡を目指す。高齢者は多く、地域のボランティア団体の力も借りながら交通事故や特殊詐欺の防止に力を入れていきたい」と、管内情勢を踏まえ、初の署長職への決意を語る。
1979年に県警入り。高梁署が最北での勤務で、美作地域の印象について「日本の原風景が多く残っている」と話す。「赴任地を愛する心を持っていたい」とし、地域の散策や住民たちとの関わりに心を躍らせる。
本部捜査1課、2課を中心に計30年以上にわたって刑事畑を歩み、遺体を見て犯罪性の有無などを判断する検視官の経験者でもある。「印象深い事件などを上げればきりがないが、犯人を検挙するために、悪を絶対に許さないという気持ちでやってきた」。
警察官としてのモットーは誠実さだ。「権力には責任が伴う。周りの意見をしっかりと聞き、声無き声にも耳を傾けなければならない」と説く。自身を「優柔不断」と分析するからこそ、その姿勢を貫いている。
大の歴史小説、時代小説好き。司馬遼太郎や吉村昭ら語ったお気に入りの作家の中には、美作市林野生まれで『分隊長の手記』などで知られる棟田博(本紙連載で紹介)の名前も。歴史そのものへの関心も高く、「機会があれば久米郡の史跡も探訪してみたい」と目を細める。
岡山市に自宅があり、妻を残して官舎に単身赴任。60歳。