津山市とJR西日本が進める自動運転バスの実証運行の出発式が13日、岡山県津山市大谷のJR津山駅で開かれた。地域交通の未来へ向け、第一歩を踏み出した。
式には谷口圭三市長やJR西日本岡山支社の林秀樹支社長、国土交通省の担当者ら約10人が出席し、テープカットで出発を祝福。参加者がティアフォー社製の「Minibus1.0」に乗り込み、車両は駅前を静かに発進して大田のリージョンセンターへ向かった。
自動運転バスは、津山駅とリージョンセンターを結ぶ区間で15日から24日までのうち5日間、一般試乗会を実施する。定員は12人で、運転士とスタッフ3人が同乗。車両には走行環境を把握する28のセンサーを備え、あらかじめ作成した3Dマッピング(高精度3次元地図)をもとに周囲を検知しながら自動走行する仕組み。市とJR西日本は、安全面に十分配慮して運行にあたる方針だ。
試乗では走行は安定しており、乗り心地も自然だった。自動運転中は運転士がハンドルの下に軽く手を添えた状態で見守り、急制動が必要な場面では即座に手動運転へ切り替えられる態勢を整えている。車内には走行状況を確認できるモニターが備わり、赤信号では滑らかに停止するなど、動作は終始落ち着いていた。
今回の実証実験は、地域の実情に合わせた課題を洗い出すことを目的としており、2年後の自動運転レベル4(特定エリアでの無人運行)実現を見据えて進められている。現在、全国でレベル4の運行が行われている地域は約10カ所で、国は2027年度までに100カ所への拡大を目指している。
出発式に続き、リージョンセンターではシンポジウム「津山市における地域公共交通の課題と自動運転バスへの期待」が開かれ、新たな交通の可能性を語り合った。
谷口市長は「1年をかけて準備してきた。深刻化する人手不足への対策として自動運転の可能性に期待している。まずは実証で課題を洗い出し、最終的にはレベル4の実装を目指したい。試乗会を通じ、市民の声も取り入れながら本格導入に向けて進めていきたい」と述べた。
林支社長は「地域の足を守るためには、新たな技術と暮らしの視点を結びつけることが不可欠。公共交通をまちづくりの核と捉え、さまざまな事業者と連携しながら、市とともに地域の移動を支える責任を果たしていきたい」と話した。
