苫田ダムの建設阻止運動に関する資料を後世に伝えようと、収集と整理に取り組んできた有志のグループが29日、歴史を物語る書類や映像など605点と未整理分の資料を町に寄贈した。鏡野郷土博物館(岡山県苫田郡鏡野町竹田)で保存される。
資料は、奥津町や町議会、阻止同盟・支援団体関連、裁判資料、新聞記事、ビデオ、写真アルバムなど多岐にわたり、ダム問題に揺れた町の状況や激しい反対運動の様子を今に伝える。運動の中心的存在だった津山市の故矢山有作氏(1924〜2017年)が残した個人資料も含まれる。
矢山氏とともに活動したメンバーらが、「苫田ダム阻止闘争の資料保存を進める会」を立ち上げ、公共的な保管を目指して作業。計約2000点を集めることができ、一点一点の整理に取り組んできた。
6月29日は1959(昭和34)年に奥津町で「苫田ダム阻止条例」が制定された日。式では世話人代表で元県議の武田英夫さんが「苫田ダム問題は62年前の話ではなく、ダムと治水という今日的な課題でもある。町による保存は、若い人に引き継いでいく上で大きな力になる」とあいさつ。メンバーから目録を受け取った山崎親男町長は「500世帯を超える家屋が湖底に沈み、ダムができる過程にはさまざまな葛藤があったと思う。貴重な資料を大切に保管し、後世に伝えていきたい」と述べた。
会では今後も未整理分の資料を整理していく予定。また、同博物館の協力も得て展示会を開催したいとしている。
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1山崎町長に資料を寄贈するメンバー
