遺跡発掘調査 流路とともに須恵器など出土 古墳時代後期の可能性/岡山・津山市  

行政・公共 流路のくぼみに置かれた須恵器(左)と土師器の甕=岡山県津山市で
流路のくぼみに置かれた須恵器(左)と土師器の甕=岡山県津山市で
         

 国道53号・津山南道路の整備に伴い、岡山県古代吉備文化財センターは、津山市福田の福田湯田遺跡で発掘調査を行っている。皿川東岸の調査区から皿川の流路が複数見つかり、そのくぼみに一対で置かれた須恵器と土師器の甕(かめ)が出土。古墳時代後期の水辺における祭祀(さいし)の可能性が考えられる。

 5月に終了した高尾宮ノ前遺跡の調査に続き、6月から国道53号沿いの福田湯田遺跡を発掘。本年度の調査区約3000平方メートルのうち、現在約600平方メートルを調べている。

 地表から30~50センチほど掘り下げると、河川敷のように広がる礫(れき)が一面に現れ、網の目状になった流路、中州が確認された。

 流路には増水時以外、水は流れていなかったものとみられる。このうち、深さ30センチほどの浅い流路のくぼみを利用して、一対で並んだ須恵器と土師器の甕が、これまでに2カ所で出土している。須恵器の杯(つき)もあり、古墳時代後期に水辺で行われていた祭祀の一形態の可能性が考えられる。

 東側の丘陵に築かれた高野山根古墳群などの築造時期と重なることから、関連性も想定される。

 調査を担当する團奈歩総括副参事は「須恵器と土師器の甕はセットで置かれており、水辺の祭祀の痕跡と考えられ、興味深い。古墳時代後期の川の利用のあり方が分かる事例」と話す。

 このほか、中世以降と考えられる掘立柱建物1棟が検出されている。

福田湯田遺跡の発掘調査
福田湯田遺跡の発掘調査


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