津山高専公開講座「化学実験教室」が21日、岡山県津山市沼の同校で開かれ、県内の小学4年生から中学3年生までの20人と保護者が化粧品やお菓子などに使われる香料の謎に迫る実験を楽しんだ。
総合理工学科先進科学系の廣木一亮教授が「くさい+くさい=いい香り?香りの化学」と題し、酸とアルコールの縮合反応でできる化合物「エステル」の仕組みを利用して、実験前後の液体の臭いの変化を知る講義を実施。同系の生徒が実験の手伝いをした。
白衣に身を包んだ子どもたちは始めに、酢酸が入った試験管の上で臭いを嗅ぎ、「うわっ」と驚きながら酸味のある激臭を体感。次にブタノールといった数種類のアルコール系薬品と硫酸を入れてもらい、熱を加えた後、ビーカーにそそいで鼻を近づけると、フルーツに似た香りに変わっていることに気付き、「バナナと同じにおいだ」「なぜ洋ナシに?」などと声をあげて不思議がっていた。
廣木教授が香りによって過去の記憶を呼び起こす現象「プルースト効果」を挙げながら「果物の特徴的な匂いと似ている香りを嗅ぐと本物と錯覚する。こうやって人工的に香りを作ることができる」と解説。新たな発見に参加者は目を輝かせていた。
広戸小学校4年生の花谷航大君(9)は「実験はとても楽しかった。おいしそうなお菓子の匂いも実は薬品でできていて、香りにだまされているとわかってびっくりした」と話していた。
