高尾北ヤシキ古墳

歴史・文化 高尾北ヤシキ古墳
         

 国道53号・津山南道路の整備に伴い、県古代吉備文化財センターが昨年10月から行っている高尾の高尾北ヤシキ古墳の発掘調査で、横穴式石室内から焼き物の棺・陶棺(とうかん)1基、鉄製の小刀・刀子(とうす)の一部、須恵器や土師器といった副葬品が出土した。
 古墳は直径13〜14㍍の円墳1基で、6世紀後半から7世紀初頭に築造されたと推定される。石室は、玄室と羨道の境目がない無袖式で、入り口部分が壊されており残存長は約6・5㍍。内部は後世にかく乱を受けているとみられる。
 土砂の除去を進めたところ、ふたが失われた陶棺が姿を現し、棺底から刀子の茎(なかご)と刀身の一部、ガラス製の小玉が見つかった。石室の奥壁部分では須恵器と土師器がまとまって出土。陶棺の横からは、用途や性格不明の円筒形土製品(長さ約1㍍)1点が見つかっており、県内でも珍しいという。また時期は不明ながら、墳丘から石を組んだ箱式石棺1基も出土し、これから中の土砂を取り除く。
 調査を担当する小嶋善邦総括副参事は「これまでに調査した一連の桑山、桑山南、細畝の3古墳群の中でも高尾北ヤシキだけが単独墳で興味深い。陶棺は追葬されたものとみられ、今後、陶棺の下から最初の埋葬時の遺物が出土する可能性もある。それを調べれば古墳の築造時期が絞られていくだろう」と話している。
 調査は本年度いっぱい行われる。


高尾北ヤシキ古墳の横穴式石室内から出土した陶棺などの様子


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