政府は29日付で2023年春の叙勲受章者を発表した。受章総数は4009人(うち女性417人)。岡山県関係は65人で、同県美作地区からは8人が選ばれた。津山市の4人から喜びの声を聞いた。
◆瑞宝双光章 保護司 上原勇三さん(74)
「父親になった気持ちで相手に寄り添い、接することで心を開いてくれる。約束を守って立ち直ってくれた話を耳にすると、やはりうれしい」とほほ笑む。
企業経営の傍ら1994年に保護司の委嘱を受けて以来29年間、犯罪者の自立更生に尽力。2016年から23年3月まで津山地区保護司会会長を務めた。
窃盗、薬物乱用などの事案で保護観察処分を受けた未成年者を担当することが多く、信頼関係づくりからの更生に心を砕き、家族への助言による家庭、交友関係の環境調整からも社会復帰を支援。
「常に協力してくれた妻に感謝している」。
◆旭日双光章 元県薬剤師会理事 冨永美香子さん(73)
「患者さんに薬のことを正しく理解して飲んでもらい、元気になってくれるのが一番のやりがい」
1972年、22歳で薬剤師免許を取得。95年に独立し鏡野町吉原にそよかぜ薬局を開設。県薬剤師会津山支部長も務める。「津山薬剤師会では若い人たちが頑張っている。コロナワクチン接種の際の分注作業にも協力し、団結力を心強く感じる」
「薬局の中だけでなく、外に出て患者さんと接することもできるのも仕事」。その上で「薬剤師不足が深刻な地域もある。若い人に魅力を伝え、薬剤師を目指す人が増えてほしい」と期待する。
◆瑞宝双光章 調停委員 浅山幹男さん(70)
「本業の税理関連の法律だけでなく、その他も勉強した。興味を持った分野は本気で学ぶ。その姿勢が生かされたと思う」
大学院卒業後に税理士としてキャリアをスタート。事務所を構えた7年後の1998年、民事調停委員に任命された。その後、津山調停協会会長と岡山調停協会連合会副会長を兼務して約4年間、現場をけん引してきた。
「さまざまな人たちと話して得た知識が仕事や人生の糧となった。今も人との出会いを楽しみ、学んでいる」と話す。
現在は津山調停協会顧問と本業に加え、行政書士、登録政治資金監査人としても活躍中。
◆瑞宝単光章 元津山市消防団分団長 石田泰将さん(70)
「地域や世代を超えた人とのつながりが消防団の魅力で、自分の財産。そして家族の支えがあってここまで続けてこれた」
1986年、津山市消防団院庄分団に入団し、部長、副分団長を経て、2010年から22年まで分団長を務めた。
「特に印象に残っているのは、98年の台風10号襲来。吉井川の河川敷の見回りに出ていたが、自然の脅威を目の当たりにし、防災や避難の大切さを改めて感じた」と振り返る。
団長就任後は、緊急時に団員がけがなく安全に活動できるよう、日ごろの声掛けに力を入れた。
このほか美作地区関係の受章者は次の通り。(敬称略)
◇旭日双光章◇
▽髙田爲行(79)元真庭郡医師会会長、真庭市福田▽竹原茂三(73)元真庭市議会議員、真庭市栗原
◇端宝小綬章◇
▽遠藤昌樹(71)元公立高校長、美作市福本▽本元基司(78)津山高専名誉教授、真庭市関