国の脱炭素先行地域に指定されている岡山県西粟倉村は、中国銀行のグループ会社のちゅうぎんエナジー(岡山市)など民間企業3社と新電力会社「西粟倉百年の森林でんき」(百森でんき)を設立した。太陽光発電のPPA(電力販売契約)モデル事業を進め、2030年までに村の電力由来のCO2排出量ゼロと地域経済活性化を目指す。
林業を中心とした「百年の森林構想」の一環で、自然エネルギーを電力として活用し、村内で循環させる狙い。役場や小中学校、道の駅など公共の10施設と村営住宅54戸に太陽光パネルを設置するほか、村営の水力発電所の運営管理も引き継ぐ。
百森でんきの資本金は2000万円。PPA導入の総事業費は1億5000万円で、うち3分の2を国の交付金、残りを中国銀行の融資でまかなう。
同村影石の村役場で19日に開かれた会見で、青木秀樹村長が「村の自立に向けた大きな第一歩。美しい上質な田舎を実現する」と語った。
寺尾武蔵百森でんき社長(43)が「これまで培ってきたエネルギー事業の経験や知識を生かし、持続可能な循環型の地域社会を目指したい」と抱負を述べた。
現在、村の電力消費量は720万キロワットアワー。PPA導入により60万キロワットアワーの発電量を見込む。さらに、これまで発電していた村営の水力などによる420万キロワットアワーを村内に供給するほか、民間他社の太陽光エネルギーなども加えて段階的に全量をまかなう計画。