【特集ザ・作州人】社会人野球「ショウワコーポレーション」・亀沢恭平監督  就任2年目で全日本優勝/

ザ・作州人 亀沢恭平さん
亀沢恭平さん
         

 今回の「ザ・作州人」は元プロ野球選手の亀沢恭平さん(35)に”再登場”してもらった。プロ野球で活躍後はUターンし、社会人野球のクラブチーム「ショウワコーポレーション」(岡山県美作市)の監督に就任。わずか2年目で全日本クラブ選手権優勝に導き、社会人野球日本選手権出場を果たしたのだから取り上げないわけにはいかない。次なる目標は「都市対抗出場」「プロ野球選手の輩出」だ。


 このコーナーに取り上げる人は基本的に1回限りと決めていた。しかし、掟を破ってまで亀沢さんに再登場願ったのは、今回の快挙をもっと知ってもらいたいと思ったからだ。

 「基盤づくりが大前提と思っている中で、それ以上の結果を出せたのは何より。上出来の1年だった思います。でも、満足はしていません」

 亀沢さんと言えば、ご存じの通り、2011年福岡ソフトバンクに育成2位で入団。4年目に中日へ移籍するとチームの元気印として活躍した。阪神との開幕カードでの4安打、愛妻に送るバースデー弾などは、栄えある第1回で伝えた通りだ。

 しかし、プロの世界は甘くなく、2019年オフ戦力外に。沖縄初のプロ野球球団、琉球オーシャンズで再出発したが、コロナ禍などもあり、21年に引退。そのとき、声を掛けてもらったのがショウワコーポレーションだった。

 自身の経験を地元に還元したいと思っていた亀沢さんにとっては望むところ。持ち前の行動力と人脈を駆使し、チーム強化に着手した。就任時に掲げた目標は「全日本クラブ選手権優勝」「都市対抗出場」「プロ野球選手の輩出」の3つ。これがどれだけ難しいか。なのに、これらを3年以内に達成するとハードルを上げている。

 するとどうだ。2年目の今年、最初の目標をクリア。決勝の相手となった名古屋「矢場とんブースターズ」には私自身もお世話になっており、試合経過に一喜一憂したものだ。

 そして11月には京セラドーム大阪で行われた強豪ひしめく社会人野球日本選手権出場にクラブチームを代表して出場。オリックスなどで活躍した谷佳知や阪神の中野拓夢を送り出した名門、三菱自動車岡崎に0―4で敗れた。

 「企業チームの投手はやはりクラブチームとはレベルが違う。選手の人数が圧倒的に少なく、作戦も単調になり、打つ手が限られていた」

 完敗だったが、多くの課題と収穫を得たのも確かなようだ。すでに来シーズンに向け、スカウトとしても奔走し、任務を完了。現在19人の部員に加え、プロからも注目されていた選手を含む13人程度が新戦力として加わるという。

 「野放しにできない課題が見つかった。あくまでも選手ファーストですが、自分で考える力を身につけてほしい。会社のバックアップもあり、来年はひとつのポジションを2、3人で争うことになる。強いと思いますよ」

 ありがたいのは周囲の見る目が変わって来たことだ。ショウワコーポレーションのサポートはもちろん、県内外からのスポンサーもどんどん増えている。

 「将来的には企業登録を目指していますが、それには部員が仕事と野球を両立し、みんなから愛されないといけない。地域にも根づきつつあるので、僕も率先して広告塔として、町おこしにも貢献したいです」

 野球チームの運営にはお金が掛かる。しかし、地元チームの躍進は地域の誇りとなり、郷土愛にもつながる。そのあたりは理解されているようで今後は室内練習場、宿舎の新設など環境面も整備されるとのことだ。

 来年の最大の目標は6月の都市対抗予選でまずシティライト岡山、三菱自動車倉敷オーシャンズを下し、初の二次予選に進むこと。その先にはドラフトでの指名選手が現れるかも知れない。

 「楽しみしかありません」

 亀ちゃんの歩みは確かだ。(山本智行)

 ◇亀沢恭平(かめざわ・きょうへい)1988年10月15日生まれの35歳。作陽、環太平洋大、香川オリーブガイナーズを経て福岡ソフトバンク、中日で主に二塁手、三塁手として活躍。その後、琉球オーシャンズを経て2021年11月にショウワコーポレーション監督就任。今年、全日本クラブ選手権優勝に導く。


>津山・岡山県北の今を読むなら

津山・岡山県北の今を読むなら

岡山県北(津山市、真庭市、美作市、鏡野町、勝央町、奈義町、久米南町、美咲町、新庄村、西粟倉村)を中心に日刊発行している夕刊紙です。 津山朝日新聞は、感動あふれる紙面を作り、人々が幸せな笑顔と希望に満ちた生活を過ごせるように東奔西走し、地域の活性化へ微力を尽くしております。

CTR IMG