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奥秀子さん、初歌集『白さるすべり』を自費出版/岡山・津山市

ひと
         

 岡山県津山市戸川町の奥秀子さん(80)が、初歌集『白さるすべり』を自費出版した。これまでに詠んだ短歌のうち500首をまとめたもので、家族への温かい眼差しがひしひしと伝わる一冊になっている。
 「夏草の生い茂る中露草の瑠璃の花色目に涼しけれ」「いつまでも師匠やでとふ料亭の主人の言葉に子は頷きぬ」「長の孫自ら立ちて明り消しハッピーバースデーの歌にはにかむ」―など心象風景や心の機微を鮮やかに切り取った秀歌が並ぶ。平成7年から同人誌「サキクサ」に掲載された約1500首から選び、年代順に掲載した。
 奥さんは、あけぼの旅館の元おかみ。夫で社長だった弘さんが1987年に亡くなったさい経営を引き継ぎ、多忙を極めるなか「自分の時間をつくりたい」と幾つか習い事を始めた。そのうちの一つが短歌だった。サキクサ短歌会(千葉県、大塚布見子主宰)に入会し、月に一度の津山支部の例会に参加、年に10回発刊の同人誌に歌を投稿してきた。「万葉に帰れ」という教えのもと修錬してきた。
 「子等集う盆の休みの夕食に夫のいまさぬ食卓寂しむ」は「優しい人だった。怒られた記憶がない」という亡き夫への思いを寄せた。
 「病ひ癒えし我に向ひて孫智『おばあちゃんが治ってすっとした』と」「チューリップもう咲いたかと尋ねくる健の瞳のすずやかにして」―など、孫の成長に目を細める歌も多い。
 「家内にホース持ち来て消火なす消防士の背に手を合わせゐる」「曙を燃やしてならじとふ大声にこみ上ぐるもの押へがたかり」は2002年に火災にあった際に詠んだ。「もう終わりかと思った。消防や町内会のおかげでいまのあけぼのがある」と感謝を忘れない。
 本の題名はあけぼの旅館に毎年咲く「白さるすべり」とした。「これまでの人生を振り返るいいきっかけになった。自分なりの世界がこの本の中に残されていることはとてもうれしい。つらいこともあったような気がするけれど、なかなか幸せな人生だったのだと思う」とほほ笑む。「これからも仲間とともに短歌を続けたい」。
 本はA5判、160ページ。津山朝日新聞社で印刷した。
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歌集『白さるすべり』を自費出版した奥さん。孫の奥健君と一緒に。


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