新型コロナの影響、農業にも及ぶ/岡山・津山市

経済・産業
         

 新型コロナウイルス感染拡大の影響は、美作地域の農業にも及んでいる。需要が大きく減少した作物は、利益の捻出が難しい状況が続く。収束に時間がかかれば、専業農家にとって致命傷にもなりかねない。
 主に果樹栽培を手掛けている市農業拠点施設・まほらファーム=岡山県津山市=は、イチゴ狩りの最盛期を迎え、例年なら多い日で50〜60人が訪れるが、ハウス(約15アール)の中は連日静まりかえっている。直接買いに来る人がいる程度だ。
 鈴木妃奈代表(42)は「近年はインバウンド(訪日外国人客)も増えつつあったから残念。いつもならかき入れ時の大型連休に向け、イベントを企画するところだったのに」と肩を落とす。
 予約のキャンセルが増えたのは、県内で感染者が最初に確認された3月下旬以降で、4月はほぼ皆無に。親子連れでにぎわう春休みと時期が重なったのは間が悪かった。それに加え、移動や集会の自粛で土産物などが売れなくなり、製菓店の引き合いも減った。
 そうなれば、直売所などへの出荷に傾注しなければならない。コロナ禍で小売の需要が伸び、スーパーが入荷量を増やしたことで巻き返したが、全体の収益は例年の半分ほどになる見通しだ。
 秋までに収束しない場合、主要作物のブドウへの影響も避けられず、スタッフ15人を維持するのは難しくなるかもしれない。「給与が支払えない事態は想像したくない。早くいつもの日常に戻ってほしい」と願う。
 世間の動向で価格が変動しやすい花農家も苦労している。
 見ごろを迎えるアルストロメリア約20品種を15棟のハウス(約35アール)で育てる上原園芸(鏡野町下斎原)では、6月まで販売予定だった分を廃棄し、早くも植え替え準備に移った。兵庫や広島などの遠方にも卸してきたが、単価が安くなって採算が合わず、次のシーズンに切り替えたからだ。
 プレゼントの花束や冠婚葬祭、式典の生け込みに重宝され、通常時は1本60〜90円で取り引きされる。ところが、感染拡大の影響で学校の卒業式が行われない可能性が出たことで急落。彼岸や入学式、職員異動の時期に一時的に持ち直したものの、葬式は小規模の家族葬が増えたのも影響し、単価は5円ほどにまで落ち込む。
 2代目の牧野達也さん(40)は「4月からの売り上げは、例年の半分にも満たなくなるだろう。冬季の暖房費を取り返さなければならないのに、これでは出荷に使う箱や輸送の費用もまかなえない」と嘆いた。
 JA晴れの国岡山津山統括本部・東部営農アグリセンターによると、津山市内では、小中学校が臨時休校したために、キャベツやホウレンソウなどの給食用野菜が残った。直売所での販売にシフトし、4月の収益は、契約農家3戸で計約40万円に落ちる見込み。子どもの生活を案じ、「ただでもいいから給食を食べさせてあげてほしい」との声も上がったという。
P①
新型コロナの影響で客が減る中、収穫最盛期を迎えたイチゴ畑

P② 単価が低下したアルストロメリアを廃棄する牧野さん


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