椿高下の吉田照子さん(71)が、詩画集『曙光』を自費出版

芸術
         

 椿高下の吉田照子さん(71)が、詩画集『曙光?』を自費出版した。5年前に他界した夫・裕圀さんの水彩画と、照子さんの詩のコラボレーション。「主人は亡くなっても、心の一番深いところで生きている。詩を通して、人生を見つめてみたいと思った」と話す。
 裕圀さんは元日展会員で、結婚後は「特に一輪の花に対する小宇宙に魅せられ、水彩画を中心に描いていた」。今回は8点の絵画作品と、照子さんの詩27編を収めている。
 詩画集の副題の「あなたは心の中に」は、裕圀さんが結婚前に、照子さんに贈った恋文。「愛の終わり それは死への旅」といつか必ず訪れる「死」の予感とともに愛の行く末を案じている。照子さんはそれに応えるように、「窓のむこう 青空の彼方に あなたはいる」(青空の彼方)、「肉体は滅んでも あなたはいなくならない 今でも私の心の中で つながっている」(あなたと私)とつづる。
 裕圀さんとの思い出は時をとめたまま、照子さんは現実世界で時を重ねていく。思い出の中で両親や裕圀さんと束の間のひとときを過ごす。「娘婿と娘思いの 優しい父でした 父さんの愛情忘れない」(お正月の鰤)、「母の背中は温かかった 安らかだった 忘れない」(母の子守歌)。
 やがて生と死が混然一体となり照子さんを包み込んでいく。「人情味の中で生きる 今日を喜んで生きる」(今日を喜ぶ)、「根源という意味が 素直にわかるようになった 万象ことごとくに 自然の摂理の不思議な世界」(落葉帰根)。
 初冬の小春日和の続くある日、「らくや」という名のお気に入りの茶房に入る。■あのころ■と同じ、窓側に近いテーブルを選ぶ。ガラス越しに広がる庭園の石灯籠の周囲に咲くつわぶきの可憐な花が目に入る。そこで照子さんは、裕圀さんとの再会を果たす。
 「人の記憶は、やさしい愛に包まれています。私はいま、あなたとの思い出を回想する、日々の暮らしの中で、ひとりであることを穏やかに生きています」
 詩画集はA5版、100?。津山朝日新聞社で印刷した。
写真
詩画集『曙光?』を手にする吉田さん


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