「津山で寺山を感じてください」――。歌人、劇作家・寺山修司(1935〜1983)の魅力に触れられる交流サロン「津山 寺山修司館」が10日、一宮の小谷啓子さん(66)方にオープンした。生前の寺山さんと交流があった小谷さんが館長を務める。「全国のファンが集える場になれば」と話している。
玄関横の黒壁に「マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや」の句を赤文字で刻んでいる。二間を改修して解放。寺山さんの著作や関連書籍約600冊をはじめレコード、ニュースレター、小谷さんとやりとりをした直筆のはがきなどを展示している。畳の間では映像作品を上映している。
小谷さんは大学時代、寺山修司詩集と出合い「世界観が変わった」。出版社に手紙を送ったところ本人から返信があり、文通が始まった。就職して上京すると寺山さんが主宰する劇団・天井桟敷の劇場などに通うようになる。
津山への帰郷が決まった際は「君の文章は好きだ。君を手放すのはつらい。何も東京だけが文化の中心じゃない。土着の文化を津山から発進してくれ」と涙を浮かべ見送ってくれたという。交流は寺山さんの晩年まで続いた。
「寺山さんを直接知る人も少なくなってきた。語り部として魅力を伝えていきたい」
開館時間は午前10時〜午後5時。定休日は月曜(ほか不定休)。駐車場あり。入館料は「とりあえず無料」。小谷さん(☎090―7133―8024)。
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オープンした「津山 寺山修司館」
歌人、劇作家・寺山修司の交流サロン 一宮にオープン
- 2020年12月11日
- 歴史・文化