津軽三味線の民謡弾き語りコンサートが5日、新野東の勝北文化センターで開かれた。原発事故による放射能の影響を恐れ、瀬戸内市に移住した蝦名宇摩さん(44)が東北への思いを込めた力強い音色を披露し、親子ら約160人が聴き入った。
NPO法人みる・あそぶ・そだつ津山子ども広場が第107回鑑賞会として開いた。蝦名さん(鹿児島県奄美大島出身)は、2011年3月の東日本大震災に伴う原発事故を受け、埼玉から瀬戸内市に母子避難。教室や演奏会の傍ら、夏に福島の子どもたちを招いて保養してもらう支援活動をしている。
コンサートでは社中のメンバーとともに北海道や青森、宮城、秋田、沖縄など全国の民謡を弾き語り。和太鼓奏者の乙倉俊さん(同市)も共演し、迫力ある音色を響かせた。
「10年前の福島の出来事を忘れてはいけないし、震災はまだ終わっていない。これからも東北を思い、支え合っていきたい」と蝦名さん。福島の民謡では事故当時の映像を交えながら奏で上げ、訪れた人たちは大きな拍手を送っていた。
北陵中2年の赤木敦彦君(13)は「津軽三味線の音色は大きくて迫力があった。演奏会を通じて震災や原発事故のことを忘れてはいけないと改めて思った」と話していた。
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津軽三味線の力強い音色を披露する蝦名さん(左)