社寺や仏像彫刻を手がける山根利之さん 加茂町公郷の公卿寺の客殿に収める薬師如来像を制作

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社寺や仏像彫刻を手がける草加部の山根利之さん(65)が、加茂町公郷の公卿寺の客殿に収める薬師如来像を制作した。「病気を平癒し、たくさんの人々が救われるように」との思いを込め、巧みな技術で彫り上げた。
 山根さんは鳥取県智頭町の生まれで、十数年にわたって彫刻で有名な富山県南砺市井波で修行。現在、ギャラリーを併設した「山根木彫刻」を営み、近年では小田中の聖徳寺の和霊殿、美咲町の両山寺の本堂や山門などの彫刻を担っている。
 公卿寺ではコロナ前に客殿を新築。寺の檀頭で林業を営む髙田通孝さん(62)=加茂町成安=が、山根さんに客殿の本尊として薬師如来像の制作を依頼した。?田さんが切った樹齢約200年の鏡野産の天然ヒノキを(直径85?)を使用。1本の木から刻む一木造(いちぼくづくり)で、丹精込めてのみで丁寧に彫り、約100日かけて完成させた。
 舟形光背を含む高さは約1㍍45㌢、像本体は約80㌢。まゆを上げて表情に少し厳しさを出すとともに、口元にほほ笑みをたたえている。「木の生命力と存在感を表現できるよう意識した。髙田さんが選んだ木も素晴らしかった」と山根さん。
 髙田さんは「木が持っている力と山根さんの技術を最大限に生かし、寺にふさわしい仏像ができた。檀信徒の心のよりどころとなり、将来にわたって寺や檀家を守ってくれるでしょう」と話している。
 像は髙田さんが寄進し、延期されていた落慶法要を11月27日に営んで安置される予定。


薬師如来像を制作した山根さん(右)と、檀頭の髙田さん


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