苫田ダム矢山有作/岡山・鏡野町

歴史・文化 苫田ダム矢山有作
         

 苫田ダム=旧奥津町=の建設阻止運動に関連する資料を歴史資料として後世に伝えようと、有志約10人が行政による公共的な保存を目指して整理作業に取り組んでいる。運動の中心的存在だった故矢山有作氏=岡山県津山市=が残したものをはじめ1000点以上。冊子の作製も計画し、古里を離れた元住民らにも資料の提供を呼びかけている。
 苫田ダムは1957年の新聞報道で計画が表面化。水没戸数は約500戸にも上り、町を挙げて激しい反対運動が起こった。
 矢山氏(1924〜2017)は市議、県議を経て参院議員2期、衆院議員を3期務め、政界引退後は市民運動家として活動。ストップ・ザ・苫田ダムの会の代表となり、阻止運動に力を注いだ。3年前に93歳で亡くなった後、残された資料について遺族から話があり、地域の歴史として保存するため、矢山氏と活動した元メンバーたちが集まって約1年前から作業を進めている。
 資料は矢山氏の約500点に、メンバーが持ち寄ったものを加えて1000点を超える。住民集会やシンポジウム、行政・議会関連、新聞記事、映像など幅広く、ダム問題で揺れた町の状況や大規模に展開された運動の様子を物語る。中には矢山氏の自筆資料もある。
 作業に携わる一人の南條節夫さん(85)は30歳まで奥津の住民だった。「さまざまな活動を思い出すし、今でも残念な気持ちは変わらない。集まった資料の多さに長年続いた運動の積み重ねを感じる」と述べ、将来の人がダムについて検証するための資料になればと、自宅で保管していた段ボール11箱分の映像や写真を持ち込んだ。
 元県議の武田英夫さん(73)も「苦い思いをしてこの地を離れていった人がたくさんおり、全国的な大闘争となった阻止運動の歴史を後世に伝えたい。ダムと治水は今日的な課題であり、この議論にも貢献できれば」と話している。
 来年6月をめどに資料をまとめる予定。冊子の作製も計画し、立ち退きを余儀なくされた元住民らから、反対運動に関連する各種資料の提供を求めている。
 問い合わせは、矢山氏の親族会代表・金田稔久さん(℡0868-57-7780)

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1苫田ダム反対運動の関連資料の整理作業を進めるメンバー

2矢山有作氏


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