岡山県真庭市の蒜山地方に伝わる「がま細工」作りが最盛期を迎えている。雪に閉ざされる冬の手仕事として受け継がれ、一つひとつ丁寧に仕上げられる民具は素朴な風合いにぬくもりがあふれる。
南北朝時代からの歴史を持ち、県の郷土伝統的工芸品に指定。丈夫で防水性にも優れていることから、雪国の生活に欠かせないさまざまな用具が作られてきた。
蒜山蒲細工振興会(8人)の女性たちが蒜山下徳山の工房で製作。蒜山産のヒメガマと、シナノキの樹皮から作った小縄を材料に、専用の木製道具を使って丁寧に編んでいく。手さげかごや、小物入れ、鍋敷き、ぞうりなどがあり、使えば使うほどなじみ、味わいが増すという。
多久間博子会長(84)は「日本では蒜山にしかない伝統のがま細工。後継者をつくり、地域の文化を絶やさないようにしたい」と話す。
作業は4月まで続き、地元の道の駅や観光施設に並ぶほか、民芸品店などの注文を受けて県外にも出荷する。