「中・高等教育機能のあり方に関する有識者会議」報告書

行政・公共
         

 美作大の公立化や作陽高校の倉敷市移転後の対応などを検討した津山市の「中・高等教育機能のあり方に関する有識者会議」が、報告書をまとめた。急速な少子化や若年層の流出が課題で、教育機能などの維持に行政の関与が必要になるとの意見が目立った。
 座長の今井康好岡山大大学院教育学研究科教授が26日、市役所を訪れ、谷口圭三市長に提出した。市長は「内容を精査する。しっかりと参考にしたい」と話した。
 会議で注目されたのは、少子化などの影響で将来経営が厳しくなるといわれ、市議会でも取り上げられた美作大の公立化だ。
 報告書では、既存施設を活用することで整備費を軽減できるだけでなく、高い国家試験合格率など、培った強みを生かせる可能性があり、検討するべき選択肢になり得るとしている。現在約1200人いる学生、教職員は都市の活力維持に重要な役割を果たしており、市は、多面的機能が引き続き発揮されるよう、運営法人の美作学園が進めようとしている学部学科の改組といった改革を支援する必要があると指摘した。
 検討にあたり、同学園とは、短期的、長期的に必要な施設維持コストや事業継続性などを整理するべきであり、さらなる検証体制も望まれるとした。
 ただ、大学などの高等教育機関の新設や既存機関での新学部の設置、学校法人誘致も教育機会を保つ上での選択肢に挙げた。いずれにしても市が関わる場合、社会が抱える課題に対応し、地域や企業の変革をけん引できる人材の育成が求められ、活動の成果も地域に還元されなければならないと強調している。
 一方、2023年度に予定される作陽高校移転の影響については、市内の中学生の進学状況などを見ると限定的だが、スポーツなどの分野で代替できない水準に達しており、志望する人に対し、多様な進学先を想定した進路指導も必要になると結論づけた。
 市内の高校のあり方では、生徒たちが将来の都市機能の維持、発展に貢献する基盤になる可能性を見据え、地域課題の研究などを行政としても推進するべきとしている。
 同有識者会議は、計6人を委員に選び、昨年6月から12月までに計4回開いた。


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