岡山県真庭市北房地域で300年以上前から続く伝統の「北房ぶり市」が4日、同市下呰部の呰部商店街で開かれ、新鮮な寒ブリを買い求める大勢の買い物客でにぎわった。
第324回目となる今回、開催に先立って主催の呰部商店会・古林重幸会長が、能登半島地震で被害を受けたブリの名産地・富山県氷見市にお見舞いを述べた後、「昔から『ぶり市の風に当たると風邪をひかない』と言われており、来場されたみなさまにも幸運が訪れると願っている」とあいさつした。
約800メートルの通りが歩行者天国になり、露店が並ぶ中、木を組んで再現された昔ながらの「ぶり小屋」では、岡山市中央卸売市場(岡山市南区)の翔茂水産やMKフーズが氷見市や長崎県産などの天然ブリを市価より2割ほど安く販売。大ぶりな1匹を豪快にさばいて切り売りする姿は多くの人たちの目を引き付けていた。翔茂水産の武田正明さん(60)は「脂の乗りの良いものが入ってきている」と語る。
倉敷市から訪れた山本敏恵さん(57)は「昨年買って食べておいしかったのでまた買いに来た。刺身にして食べるのが楽しみ」と笑顔で話していた。このほかステージでは、備中かぐら太鼓や備中神楽などが披露され、多くの人だかりができていた。
山間部に位置し、美作と備中を結ぶ交通の要所として栄えた同地域。ぶり市は江戸時代に一帯が伊勢亀山藩(三重県)の飛地になった際、海産物を食べる機会が少なかった領民を思い、高価なブリを奨励したのが始まりとされる。