神社、仏閣、文化財などの伝統的な屋根葺(ふ)きの手法、檜皮(ひわだ)葺きの原料になるヒノキの樹皮を採る職人「原皮師(もとかわし)」による作業体験・見学会が30日、神代の久米ロッジ近くのヒノキ林で開かれた。参加者約10人が日本古来の技の凄みを体感した。
NPO法人倭文の郷が10月の里山塾として企画。県内でも数少ない技術者の橋本健太郎さん(31)=瀬戸内市=と内田祐太さん(29)=倉敷市=が、樹齢約70年のヒノキで実演した。
橋本さんは特別なヘラを表皮に入れて皮をはがし、高い所では両端に棒をつけた「ぶり縄」を足場にして作業。はいだ皮を束ねた後、内田さんが大切り包丁でたたき切るようにして約75㌢の長さに裁断した。参加者は縄の結び方を教わったり、包丁を実際に使ったりした。
市内の児島敬子さんは「興味があって参加した。技の一つ一つに感激し、貴重な体験になった」。橋本さんも「文化財を守っていく上で欠かせない技をみなさんに知ってもらえてうれしい。木は枯れないし、文化財を守ることにつながっている」と話した。
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ぶり縄で木に登り、樹皮をはがす作業を実演する橋本さん