東京スカイツリー完成10周年の展示替えにより津山市に移設された「江戸一目図屏風」(県指定重要文化財)のレプリカが30日、常設場所となる岡山県津山市山北の市役所本庁舎1階ロビーでお披露目された。
レプリカは、津山郷土博物館に収蔵されている江戸の町の鳥瞰(かん)図が描かれた六曲一隻(せき)の作品を実物大に複製したもの。縦1・76㍍、横3・53㍍の和紙に図を写し、強化ガラスで挟んで固定している。
現物は1809(文化6)年に津山藩お抱えの絵師・鍬形?斎(1764〜1824)が制作。絵の中央には江戸城、背景に富士山、下方に隅田川を配すなど上空から町を見渡したかのように描かれているのが大きな特徴で、スカイツリーからの眺望と構図が重なっていることから、施設を象徴するディスプレイとして作られ、約350㍍上空の展望デッキに設置されていた。
この日は除幕式が開かれ、関係者や市民らが集まる中、幕が下ろされた。谷口圭三市長は「屏風を眺め、江戸の風景や人々の生活に思いをはせてもらえたら」とあいさつ。その後訪れた人たちはそばまで近づき、緻密に描写された人物や建物など細部までじっくり鑑賞していた。
スカイツリー建設に携わった小林敬治さん(63)=東京都=は「津山には歴史と貴重な文化財があってすばらしい町だということを多くの人が知るきっかけになれば」と話した。
「江戸一目図屏風」移設