古典絵画の影響を受けた写実的な作品で注目を集める岡山県井原市の画家・上西竜二さん(49)の個展「楽園」が26日、津山市川崎のポート・アート&デザイン津山で始まった。「身近にある幸福」をテーマに旅先や日常で目にした美しい情景、身近な人々の生き生きとした姿を捉えた逸作が来場者を魅了している。5月11日まで。
上西さんは2001年にキャリアをスタートさせ、新進作家育成を目指す県の第2回「I氏賞」で奨励賞を受賞。県南西端の井笠地域の画家らでつくる備陽美術協会に所属し、県内を中心に活動している。同展では油絵と水彩画計約30点を出展。
会場には、愛らしい飼い猫の視線が心をくすぐる「癒し」、夏場にニューヨークで出会った女性をモデルにした「EDNA(エドナ)」などが並ぶ。このうち、静かな冬の山林にたたずむ少女が印象的な「楽園」は落ち着いた色合いで穏やかな時間を表現。視線を上向きにしてわずかに微笑む少女の顔に少し先の明るい未来を予兆させる意図が組み込まれている。
このほか、人が生きていくのに必要な食べ物と水を描いた静物画「充ち足りている」「全てがそこにある」も展示されており、作品を通して幸せについて観賞者に呼びかける。上西さんは「作品には猫が隠れているなど写真では気づきにくい遊び心のある“仕掛け”を施している。ぜひ実際にじっくりと探してみるなどして、楽しんでほしい」と話している。
