美作市出身の写真家・小林正秀さんと倉敷市児島出身の版画家・中桐聡美さんの展覧会「風景のかたち」(美作学術文化振興財団主催)が岡山県勝田郡勝央町勝間田の勝央美術文学館で始まり、故郷の景色などを素材に仕上げたそれぞれの感性が光る印象的な秀作が来場者の目を引きつけている。24日まで。
新作から約9年前の過去作まで2人合わせて計42点を出展。小林さんは県北の里山や山間部の集落、倉敷市下津井地区の町並みを収めた写真をモノクロ調に印刷して展示。カメラレンズを通して映し出された作家の記憶に残る風景は、懐古と郷愁の念を想起させる。
一方中桐さんは母親が撮影した瀬戸内海の写真をシルクスクリーンの技法で製版し、傷を入れてインクをにじませるといった独自のアレンジを加えて「イメージの変化」や「移ろい」を表現。今回自身初の試みとなる小林さんの作品を使った合作も発表している。
共に山間部と沿岸部の景色の写真を用いるも、それぞれ異なった視点で作品のテーマに切り込んでいる「似て非なる表現」という試みも趣深い。
同館は「地元の新鋭作家たちがコラボレーションしたすばらしい作品をぜひ見てほしい」とPRしている。