勝央美術文学館企画展「青蛙堂鬼談×雨玉舎木版」が、岡山県勝田郡勝央町勝間田の同館で開かれている。同町ゆかりの劇作家・小説家岡本綺堂(1872〜1939)の怪異文学集『青蛙堂鬼談』が1926(大正15)年に刊行されてから100年を迎えたことを記念し、鏡野町杉を拠点に活動する木版画家・坂手江美さん(50)の新作と文学資料を合わせて紹介している。3月29日まで。
同館収蔵の直筆原稿や初版本など貴重資料に加え、坂手さんが12編を題材に制作した新作木版画を展示。作品は100年前の原本と同じ判型で1編につき2点、計24点を並べる。文学資料は65点。
坂手さんはカエルをモチーフにした作品を多く手がけ、今回のシリーズでは三本足のカエル「青蛙神(せいあじん)」を全編に登場させた。各編の世界観に寄り添いながら、美しくもはかなく、ときにおどろおどろしく、ときに温かみを感じさせる情景を淡く繊細な色彩で表現し、物語の余韻を静かに浮かび上がらせている。
坂手さんは「怪談は苦手でしたが、読み始めると物語に引き込まれました。残酷な場面もあるが人間味にあふれ、人のさまざまな感情を感じました。展示をきっかけに本も読んでいただきたい」と話している。
岡本綺堂は東京生まれ。新聞記者として活動する傍ら戯曲を執筆し、二代目市川左團次に作品を提供した。『半七捕物帳』『青蛙堂鬼談』など、推理物・怪奇物も長く読み継がれている。勝央町出身の出版人岡本経一は綺堂の養嗣子(ようしし)で最後の直弟子にあたり、その縁から同館の顕彰作家となっている。
会期中には木版画の多色ずりを体験するワークショップ「ぽち袋づくり」も開く。3月7日に2回実施し、各回定員7人。事前予約優先。各回冒頭には講師と学芸員によるミュージアムトークも行う。
